パックご飯は、日本国内外で注目される食品の一つになっています。
特にその輸出が急速に増加しており、健康志向や日本食ブームに伴う海外でのコメ需要の高まりと、調理の手軽さ、さらに円安による割安感がこの動きを支えています。
日本国内では、コメの需要が減少する一方で、各メーカーは生き残りをかけて海外市場へとシフトしています。
例えば、仙台市に本社を置く生活用品大手のアイリスオーヤマは2022年に台湾への輸出を開始し、2024年には米国とタイにも販路を拡大する予定です。
食品メーカーのテーブルマークは、2023年に海外事業部を設置して輸出戦略を強化し、海外市場での成長を目指しています。
パックご飯の人気は、日本料理がヘルシーであるとの認識が広がる中で高まり続けており、現地での日本食の需要拡大も相まって、市場の成長が期待されています。
市場の成長
農林水産省の統計によると、パックご飯の輸出額は2017年の3億4,000万円から、2023年には約3倍の10億円にまで成長しました。
海外での日本食ブームや健康志向が背景にあり、日本食に馴染みのある人たちを中心に需要が高まっています。
主な輸出先は米国、香港、台湾、韓国、ベトナム、シンガポールなどです。
これらの市場では、パックご飯の利便性と高品質が消費者に受け入れられています。
特に米国や欧米諸国では、コメを主食としないため家庭に炊飯器がないことが一般的ですが、パックご飯なら電子レンジで簡単に調理できる点が評価されています。
また、円安による価格競争力の向上も輸出増加に追い風となっています。
現地での日本食の人気と手軽に食べられるパックご飯の組み合わせは、さらなる市場成長を見込ませる要因となっています。
メーカーの動向
アイリスオーヤマやテーブルマークなどの主要メーカーは、国内でのコメ需要の減少を背景に、海外市場に戦略をシフトさせています。
例えば、アイリスオーヤマは2022年に台湾への輸出を開始し、今年1月には米国とタイへの輸出も決定しました。
これにより2026年には12億円の輸出額を目標としています。
テーブルマークは2023年に海外事業部を営業本部の下に設置し、輸出事業の強化に乗り出しています。
また、ジャパン・パックライス秋田は、貿易商社を介さずに直接輸出することで物流コストを抑える戦略を打ち出しました。
直接輸出することで中間コストを削減し、価格競争力を高める意図があります。
さらに、日本米の品質や安全性は海外でも高い評価を受けており、これが競合他社との差別化ポイントとなっています。
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政府のサポート
日本政府は、国内農業の活性化を目指し、パックご飯の輸出を強力に支援しています。
2020年に開催された関係閣僚会議では、パックご飯、コメ、米粉、およびその製品の輸出額を、2019年の52億円から2025年には125億円に伸ばすという野心的な目標を掲げました。
特にパックご飯は輸出額が急速に増加しており、農林水産省は重要な輸出品目として位置付けています。
2023年度の補正予算では、パックご飯を含む食品の製造設備導入にかかる費用の半額を支援するため、55億円を計上しました。
これは輸出先国の規制に対応する製造設備を整え、パックご飯メーカーがさらなる輸出拡大に向けて万全の態勢を築くことを目的としています。
この政府の支援策により、日本製のパックご飯の品質と安全性を武器に、海外市場でのプレゼンスを一層高めることが期待されています。
輸出拡大の課題
パックご飯の輸出をさらに拡大するためには、解決すべき課題がいくつかあります。
まず、アジア市場や米国市場における競合製品の存在です。韓国や台湾のパックご飯は価格が安く、米国には自国製の安価なパックご飯が存在します。
特に米国ではカリフォルニア州がコメの一大産地であり、現地製品との価格競争は避けられません。
また、日本からのパックご飯の輸出には14%の関税がかかるため、価格面でのハンディキャップも無視できません。
円安が日本の輸出品の価格競争力を上げているものの、その恩恵は永続的ではありません。
為替レートの変動によるリスクを考慮した長期的な戦略が求められます。
まとめ
パックご飯の輸出は、健康志向や日本食ブーム、円安による価格競争力といった追い風を受け、年々成長を続けています。
主要メーカーは国内での需要減少を補うために海外市場へのシフトを進め、現地スーパーでの取扱量も増加しています。
政府も輸出拡大のために積極的な支援を提供し、メーカー各社は品質と安全性を強みとして差別化を図る戦略を強化しています。
ただし、現地市場では価格競争や関税などの課題が存在し、長期的な戦略が必要です。
物流コストの削減や直接輸出を通じた効率化、現地の需要に柔軟に対応できる体制を築くことが成功の鍵となります。
最も重要なのは、日本米の品質と美味しさを世界に広めることです。
この強みを活かし、現地の市場ニーズに合った戦略を展開することで、日本のパックご飯はさらなる成長を遂げるでしょう。